[GX実現に向けた基本方針] 2月10日、エネルギー安定供給と脱炭素社会両立の基本方針「GX」閣議決定

[GX実現に向けた基本方針] 2月10日、エネルギー安定供給と脱炭素社会両立の基本方針「GX」閣議決定

エネルギー安定供給と脱炭素社会両立の基本方針「GX」閣議決定
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230210/k10013976941000.html


2023年2月10日のNHKニュースより転載

政府は、脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給のため、原子力発電の最大限の活用や二酸化炭素の排出量に応じて、企業などがコストを負担するカーボンプライシングの導入などを盛り込んだ、今後の基本方針を10日の閣議で決定しました。

政府は10日の閣議で「GX=グリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針」を決定しました。

この中では、エネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現を両立させるため、安全を最優先に原発を最大限活用する方針を打ち出しています。

そのうえで、
▽廃炉となった原発の敷地内で、次世代型原子炉の開発や建設を進めるほか、
▽最長60年と定められている原発の運転期間について審査などで停止した期間を除外し、実質的に上限を超えて運転できるようにすることにしています。

一方、カーボンプライシングの導入に向けて、
▽企業などが排出量を削減した分を市場で売買できるようにする排出量取り引きを、2026年度から本格稼働させるほか、
▽2028年度からは化石燃料を輸入する電力会社や石油元売り会社などに、排出量に応じて「賦課金」を求めることにしています。

さらに、脱炭素に向けた民間投資を後押しするため、「GX経済移行債」という新たな国債を来年度から10年間で20兆円程度発行することにしています。

10日の閣議では、カーボンプライシングの導入などに向けた法案も合わせて決定され、政府は今の通常国会での成立を目指すことにしています。

日本の原子力政策は大きく転換へ

政府が閣議決定した方針では、12年前の原発事故のあと最長60年に制限してきた運転期間の実質的な延長や、想定していないとしてきた新たな原発の建設に踏み込み日本の原子力政策は大きく転換することになります。

こうした政策の検討は、去年8月に岸田総理大臣が年末までに具体策を示すよう指示したことを受けて、主に経済産業省の審議会で進められてきました。

審議会の委員はおよそ20人、多くは原子力やエネルギー分野の専門家、それに電力業界や経済界の関係者で構成されています。

審議会では多数決で決定したり意見の一致を目指したりする手続きは取られず、原発の運転期間をめぐっては多くの委員から原子力規制委員会の審査を前提に「上限を撤廃するべき」との意見が上がりましたが、採用されませんでした。

方針の案は9月から12月にかけて開かれた5回の会合でとりまとめられましたが、消費者団体の代表者など一部の委員からは「原子力政策の大きな転換を含む内容で、国民との対話も含めて少なくとも1年程度かけてじっくり議論すべきだ」とする意見も出されました。

一方、運転期間の延長をめぐっては、岸田総理大臣の指示の前から、経済産業省と原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁の担当者が面談を繰り返し、やりとりしていたことが明らかになりました。

原発事故後、高い独立性と透明性をかかげて発足した原子力規制庁の職員が、推進側の官庁と非公開の場で面談を重ねていたことを受け、原子力規制委員会は、今後、原子力を推進する行政機関との面談でのやりとりを記録に残して公開することを決めました。

西村経産相「今後も国民への説明尽くす」

GX=グリーントランスフォーメーションの実現に向けた基本方針が閣議決定されたことを受けて、西村経済産業大臣は10日の閣議のあとの会見で、原発を最大限活用するといった論点については、十分に議論を行ってきたとしたうえで、今後も国民への説明を尽くしていくと強調しました。

この中で、西村大臣は「GX実現に向けた基本方針は、気候変動問題への対応やロシアによるウクライナ侵略を受けてエネルギーの安定供給を確保するとともに経済成長も同時に実現を目指すもので、官民一体で取り組みを加速させたい」と述べました。

そのうえで、安全を最優先に原発を最大限活用する方針を打ち出したことについては、「議論が拙速だという指摘もあるが、これまで100回を超える審議会などでの専門家の議論、あるいは与党における議論を経て策定しており、しっかりと議論を積み重ねてきたという認識だ」と述べたうえで、今後も国民の理解が深まるよう説明を尽くしていくと強調しました。

一般から寄せられた意見は3303件

政府は10日、閣議決定した基本方針について、先月22日までのおよそ1か月、一般から意見を募集した結果を公表しました。

寄せられた意見は3303件で、このうち次世代型原子炉の開発や建設については「決して安全とはいえず、核廃棄物の問題を解決しない」「安全対策のためにますます建設費が増大するといわれている」といった反対意見が寄せられました。

これに対して政府は「次世代型の原子炉は新たな安全メカニズムの導入や、放射性廃棄物の量を少なくするなど、さまざまなメリットが期待できる」などと回答しています。

また、運転期間の延長については「老朽化した原発を動かすことは極めて危険だ。運転停止中であっても原発の各設備・部品は劣化する」といった意見が寄せられました。

これに対して政府は「延長に際しては安全性について、原子力規制委員会による認可が行われなければ運転できないこととするのが大前提だ」などと回答しています。



令和5年2月10日(金)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2023/kakugi-2023021001.html

GX実現に向けた基本方針について(決定)

(内閣官房・外務・財務・経済産業・環境省)


GX実現に向けた基本方針の概要.PNG
GX実現に向けた基本方針の概要



政府は、脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給のため、原子力発電の最大限の活用や二酸化炭素の排出量に応じて、企業などがコストを負担するカーボンプライシングの導入などを盛り込んだ、今後の基本方針を10日の閣議で決定した。
政府は10日の閣議で「GX=グリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針」を決定した。

「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002.html

「昨年2月のロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となる中、GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するべく、GX実行会議や各省における審議会等での議論を踏まえ、昨年末に「GX実現に向けた基本方針」を取りまとめました。
同基本方針について、パブリックコメント等を経て、本日閣議決定を行いました。

1. 背景
昨年7月27日から岸田内閣総理大臣を議長とするGX実行会議が開催され、昨年末に基本方針が取りまとめられました。その後、パブリックコメント等を経て、本日、閣議決定されました。

2. 概要

気候変動問題への対応に加え、ロシア連邦によるウクライナ侵略を受け、国民生活及び経済活動の基盤となるエネルギー安定供給を確保するとともに、経済成長を同時に実現するため、主に以下二点の取組を進めます。

①エネルギー安定供給の確保に向け、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などのエネルギー自給率の向上に資する脱炭素電源への転換などGXに向けた脱炭素の取組を進めること。

②GXの実現に向け、「GX経済移行債」等を活用した大胆な先行投資支援、カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブ、新たな金融手法の活用などを含む「成長志向型カーボンプライシング構想」の実現・実行を行うこと。

3. 関連資料

GX実現に向けた基本方針(PDF形式:563KB)PDFファイル
https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002_1.pdf

GX実現に向けた基本方針の概要(PDF形式:1,447KB)PDFファイル
https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002_2.pdf

GX実現に向けた基本方針参考資料(PDF形式:3,012KB)PDFファイル
https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002_3.pdf

関連リンク

GX実行会議について外部リンク
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/index.html

GX実現に向けた基本方針に対するパブリックコメントについて
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=595222084&Mode=1




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https://hazukinoblog02.seesaa.net/article/495244109.html

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https://hazukinoblog02.seesaa.net/article/491013915.html

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http://hazukinoblog.seesaa.net/article/490140807.html

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